2000年代後半ごろから、映画の中で「ドローン」が登場することが多くなってきました。
今まではなかったアイテムだからこそ、映画の中でのドローン描写は、画期的な要素として注目を集めています。
ということで今回は、ドローンが登場・活躍する映画のおすすめをまとめました。
ドローンパイロットの知られざる苦悩『ドローン・オブ・ウォー』
アメリカ空軍のドローンパイロットであるトミー・イーガン少佐は、本国の基地にある司令コンテナからアフガニスタンにあるドローン攻撃機を操縦する任務に就いていた。
自身は空調の効いた基地内で安全に勤務し、敵のタリバン兵をミサイル攻撃しても「人間の命を奪った」という手ごたえはなく、勤務時間が終われば家族の待つ自宅に帰る日々。
そんな異様な日常が続く中、トミーに民間人の犠牲すらいとわない作戦への参加命令が下ったことで、彼の精神は限界を超えていき……
無人攻撃機としてのドローンに焦点をあてた異色の戦争映画。
名俳優イーサン・ホーク主演で、「ドローンパイロット」という新しいかたちで戦争に参加する軍人の苦悩を生々しく描いた作品です。
画面越しの戦場と平和な日常を行き来する生活の異常さで主人公が心を病んでいくストーリーはもちろん、現代の戦場でドローンがどのように活用されているか垣間見える戦闘描写も大きな見どころ。
空爆だけでなく偵察や味方の警護などさまざまな活用方法があり、常に民間人への誤射や巻き添えの危険を伴うなど、兵器としての問題点もうかがえます。
ドローンを敵に回す恐ろしさ『エンド・オブ・ステイツ』
過去に2度アメリカ大統領の命を救い、英雄として知られるシークレットサービスのマイク・バニング。
長年の警護任務で負った傷の後遺症に悩まされていた彼は、一線を退くかどうか苦悩していた。
そんな中、大統領の休暇中に謎のドローン攻撃機が大量飛来し、大統領の暗殺を試みるという事件が発生。
なんとか大統領を守ることができたマイクだったが、犯行現場からなぜか彼のDNAが検出されたことで、暗殺未遂の容疑者になってしまう。
味方から追われる過酷な状況の中で、マイクは真相解明のために奔走していくのだった。
凄腕シークレットサービスのマイク・バニングを主人公とした「エンド・オブ~」シリーズの最終作。
今回はマイクが大統領暗殺未遂の容疑者として追われるという、かつてないストーリーが描かれました。
ドローンは序盤の大統領襲撃シーンで登場していて、何十機もの自爆ドローンが高速で襲ってくるシーンにヒヤッとさせられます。
戦場でも革命的なアイテムとして活用されてきたドローンですが、それが敵の手に渡ったらどれだけ恐ろしいかを体感させてくれる作品です。
ドローン襲撃シーンの後も壮絶な戦闘がハイペースで描かれていて、アクション映画好きなら大満足できること間違いなしです。
どこまでも追ってくるドローンの脅威『イーグル・アイ』
軍人だった双子の兄を亡くし、失意の日々を送っていた青年ジェリー。ある日彼のもとに、謎の女から「今すぐ逃げなさい」という不可解な電話がかかってくる。
その直後、FBIが自宅に突入してきて、身に覚えのないテロ計画の容疑で逮捕されてしまうジェリー。ところが、奇妙な破壊工作によってジェリーはFBIの手を逃れ、再び電話の女に指示されて逃亡することになる。
どこからかジェリーを監視して行動のすべてを把握し、あらゆる社会システムにハッキングして状況をコントロールする謎の女。その声の言う通りに行動させられて、ジェリーは壮絶な事件に巻き込まれていく……
「トランスフォーマー」シリーズのシャイア・ラブーフ主演で、謎の電話による指令が巻き起こす事件を描いたサスペンスアクション映画。
ハッキングによって防犯カメラや信号機などあらゆる社会システムが事件に関わってくるという、情報化社会ならではの演出が印象的です。
怒涛の追走劇からのクライマックスでは、ハッキングされたドローン攻撃機が主人公たちを襲うという展開も発生。小型無人機としての特長を活かして、トンネルの中にまで戦闘機が侵入して追ってくるシーンにはハラハラさせられます。
現実でも軍用ドローンの操縦を電波などで妨害されることがあるそうですが、そんな危険性も体感させられる戦闘シーンです。
まさかのドローンホラー映画『DRONE/ドローン』
新婚のレイチェルとクリスは、引っ越してきた新居で幸せな新生活を始める。
ある日、自宅の前に持ち主不明のドローンが捨てられているのを発見したクリスは、ドローンの状態が良かったので自分で使うことに。ところがその直後から、2人の周辺で怪現象が起こり始める。
実は、このドローンはレイチェルの元彼ラムゼイの所有物で、レイチェルと別れたことがきっかけで殺人鬼になってしまい、ドローンに自身の魂を乗り移らせたのだった。
やがてドローンが怪現象の原因であることに気づいたレイチェルとクリスは、恐るべき殺人ドローンに戦いを挑んでいく。
家庭用ドローンに殺人鬼の魂が乗り移り、カップルを執拗に襲う……という、かなりぶっ飛んだ内容のB級ホラー映画。
設定もストーリーもドローン版「チャイルド・プレイ」と言うべき内容で、ばかばかしいシチュエーションとは裏腹に、不気味に光るドローンがあの手この手で主人公たちを追い詰めていく様はなかなかの恐怖を感じさせます。
「ドローンあるある」な演出も取り入れつつ、意外にもスリリングに手堅く作られた隠れた良作です。
モニター越しに見る現代の戦場『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』
ロンドンにあるイギリス軍の施設で、キャサリン・パウエル大佐は中東のテロリストの捕獲作戦を進めていた。
それは無人攻撃機MQ-9 リーパーをはじめとしたドローンを多用する作戦で、ケニアの大都市ナイロビで自爆テロをたくらむテロリストたちをターゲットとしていた。
中東の現場ではテロ発生が目前に迫り、事態はしだいに緊迫していく。さらに、予想外のトラブルも発生し、民間人の巻き添え覚悟で作戦を決行するか、政府高官まで巻き込んだ議論を生んでいき……
イギリス軍によるひとつのドローン空爆作戦のはじまりから終わりまでを描く戦争映画。
中東におけるドローン攻撃の永遠の課題である「民間人の巻き添え」問題を生々しく描いた作品です。
「一人の民間人を危険にさらして大きなテロを防ぐことは許されるのか」という社会派テーマが描かれる一方で、ドローン映画としてのリアリティも大きな見どころになっています。
無人攻撃機だけでなく、現地工作員や小型の虫ドローンを駆使した偵察行為など、さまざまなかたちでドローンを活用する現代戦を味わえる秀作です。
ドローンなら捨て身の攻撃もできる『スカイライン -征服-』
友人テリーの誕生日パーティーを祝うため、ロサンゼルスを訪れていたジャロッドと妻のエレイン。
ところが、パーティーの翌朝、街に巨大なUFOがいくつも飛来し、人間たちを捕獲しながら侵略をはじめる。
ドローン型エイリアンや巨大モンスター型エイリアンの大群が街を制圧していく中、テリーの住むマンションに立てこもったジャロッドたち生存者は、生き残るために奮闘していく。
やがて、米軍による反撃作戦も始まるなど、街は戦場と化していくのだった。
エイリアンによる地球侵略を、一市民の視点から見たSFパニック映画。
VFXによる映像面に全力が注がれていて、細かいストーリーよりも豪快でド派手な破壊描写をひたすら楽しむタイプの作品に仕上がっています。
クライマックスでは「軍の無人攻撃機VS飛行エイリアンの大群」という熱いバトル展開も盛り込まれていて、大量のドローンによる攻撃シーンという珍しい映像を観られるのが注目ポイントです。
「次々に撃ち落されながらもエイリアンの母船までたどり着こうとするドローン」という、無人機ならではの捨て身の攻撃は手に汗握ります。
ドローンの恐さを印象的に見せつけた一作『ミッション:インポッシブル3』
IMFのエージェントとして現場を退き、教官として後進の育成に努めていたイーサン・ハント。
ところが、そんな彼のもとに、教え子であるリンジーが敵組織に囚われたという情報が入る。
やむを得ず現場に復帰し、リンジーの救出任務に臨むイーサン。このことがきっかけになり、裏社会の大物デイヴィアンを追う壮絶なミッションに挑むことになる。
この困難なミッションは、イーサンの婚約者ジュリアまで巻き込む事態に発展してしまい……
大人気スパイアクション映画シリーズ「ミッション:インポッシブル」の3作目。
主人公イーサンの恋人が戦いに巻き込まれたり、イーサンが敵に捕まったりと、これまでにないシリアスなピンチが描かれた作品です。
ストーリー中盤の見せ場として敵ドローンとの戦闘シーンがあって、2006年当時としてはまだ珍しい「ラジコン操縦の無人攻撃機」という描写が話題を呼びました。
ド派手でスリリングなアクション映画としてはもちろん、ドローンの存在がそれほど知られていなかった時代にドローンを印象強く描いた映画としてもおすすめです。
まとめ:映画界にも革命をもたらしたドローン
戦場から日常社会まで、さまざまな場で活躍しているドローン。
映画界にも、ドローンは新しい演出を見せるアイテムとして革命をもたらしています。
映画の中でドローンがどのように描かれて、どんな展開を生み出していくのか、今後も注目です。