ゲームやアニメをはじめ、さまざまな場面で注目を集めている「VR(仮想現実)」による表現。
このVRという世界観は、映画の中でもたびたび題材になってきました。
そこで今回は、VR(仮想現実)世界を描いたSF映画のおすすめ作品をご紹介します。
VR世界でポップカルチャーと冒険を味わう『レディ・プレイヤー1』
環境破壊や社会システムの荒廃により貧困が拡大している2045年。多くの人は過酷な現実を離れ、「オアシス」というVRゲーム世界で遊ぶことを生きがいにしていた。
あるとき、オアシスを生み出した開発者ジェームズ・ハリデーの死去に合わせて、「オアシス内にある3つの鍵を得たプレイヤーには莫大な富とオアシスの所有権を与える」という彼の遺言が発表される。
オアシスの実力派プレイヤーの一人パーシヴァルは友人のエイチたちと協力して鍵を手に入れるために奮闘するが、やがてオアシスの命運を左右する壮大な戦いに巻き込まれていくのだった。
スティーヴン・スピルバーグがメガホンを取り、さまざまなポップカルチャー作品がそのままのタイトルで取り上げられて話題を呼んだSFアクション大作。
本作で舞台となるVR世界「オアシス」は、あらゆるタイプのマップが揃い、どんな夢でも叶うという、まさにVRゲームの完成形のような楽園です。
VRゴーグルひとつ装着するだけで、好きな姿で好きな冒険を楽しめる……そんな描写にワクワクせずにはいられません。
また、ゲームやアニメ、映画などのポップカルチャーへの愛が溢れたストーリーも見どころ。
日本からも「AKIRA」「メカゴジラ」「ガンダム」などの人気作品がピックアップされ、さらに背景では膨大な数のアニメ・ゲームキャラクターが元気に動いています。
ポップカルチャーの歴史をたどるお祭り映画としても必見です。
VRゴーグルを付けてデスゲーム『VRミッション:25』
近未来。8人の凄腕ゲーマーが、最新のVRゲーム「ザ・コール・アップ」の体験版プレイヤーとして集められる。
VRヘルメットやスーツを身に着けることで、まるで本物の戦場に立っているような感覚を味わえるゲームのクオリティに、大興奮でのめり込んでいくプレイヤーたち。ところがこのゲームは、撃たれたときの痛みまで再現するという、過剰なまでにリアルな作りになっていた。
さらに、「ゲームオーバー=死」という恐るべきルールが隠されていることを知り、プレイヤーたちは命がけでゲーム内の戦いに臨んでいくが……
VRゲームとソリッドシチュエーションスリラーを融合させたストーリーが見どころのSFアクション映画。
VRゴーグルを付けるとまるで本物の戦場、でもゴーグルを外すと無機質で真っ白な室内……そんな映像表現が、リアルでハイクオリティなVRゲームの未来を感じさせてくれます。
ゲーム内の銃撃戦シーンはかなりの臨場感で、「将来はこんなリアルな戦争ゲームで遊べるようになるかも?」と想像するとワクワクできるでしょう。
また、デスゲームをメインにしてひねりを効かせたストーリー展開も注目ポイント。低予算ながら、ユニークな設定と演出で魅せる隠れた良作です。
好きなアバターで現実世界を生きる『サロゲート』
脳波によって自分の体のように操れるアバターロボット「サロゲート」が普及した近未来。人々は生身の人間を家に置き、見た目も年齢も性別も自分好みのサロゲートを作って社会生活を送るようになっていた。
ある日、路上でサロゲートが破壊され、さらにサロゲートを操作していた人間まで脳が破壊されて死亡するというあり得ない事件が発生。FBI捜査官のトム・グリアーは、この異様な事件を調べるうちに、サロゲートの開発者キャンター博士を狙う陰謀にたどり着く。
やがて事件は、社会全体を危機に陥れる壮大なものへと発展していき……
VRの魅力といえば「好きな容姿のアバターで自由に動ける」という没入感。その究極系を描いたのが、ブルース・ウィリス主演の本作です。
「誰もがロボットアバターで社会生活を送る」という、まるでVR操作技術の行き着く先を見せるようなこの作品。街を歩くサロゲートたちは限りなく人間そっくりですが、どこかマネキンのような、かすかな違和感が漂っている点に注目です。
サロゲートを通して操作者が死亡するという恐怖のサスペンスストーリーも見どころ。ド派手なアクションも合わさって、壮絶な結末まで目が離せません。
生身の人間と実弾でFPSゲーム『GAMER』
2034年のアメリカでは、人体をコントロールする技術の発展によって、「生身の人間をアバターとして操って遊ぶ」という新しい娯楽が流行していた。
冤罪によって殺人犯に仕立てられたジョンは、「ケーブル」というキャラクター名で戦闘ゲーム「スレイヤー」のアバターになる。「スレイヤー」は生身の囚人を操って行われるFPSゲームで、実弾を使った危険なゲームを勝ち抜けば減刑が約束されるというルールになっていた。
ケーブルを操るのは、弱冠17歳で天才プレイヤーとして人気を集める少年サイモン。やがてケーブルとサイモンは、「スレイヤー」の裏に隠された陰謀に直面していくのだった。
「300 スリー・ハンドレッド」などのジェラルド・バトラー主演で、人間をVR技術で操る遊びが流行する近未来を描くディストピアSF映画。
本作のストーリーの中心となっているのが、「本物の人間を駒にして、実弾で戦わせるFPSゲーム」という恐ろしいもの。囚人たちが体のコントロールを奪われて無理やり戦わされて、血肉を飛び散らせながら死んでいく戦闘シーンは思わず目を覆いたくなります。
ある意味「究極にリアルなVRアクションゲーム」の未来を描いた異色のアクション映画として注目です。
ゲームの世界でド迫力の大冒険『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』
1990年代のアメリカ。魔法のボードゲーム「ジュマンジ」はテレビゲームへと姿を変え、その中にアレックスという少年を取り込んでしまう。
それから20年後。高校生のスペンサーは、問題行動を起こした他の生徒3人と一緒に高校の地下室の掃除を命じられてしまう。
そこで古いテレビゲームを見つけたスペンサーたちがゲームを起動してみると、そのゲーム「ジュマンジ」は4人をゲーム内へと取り込んでしまうのだった。
スペンサーたちはゲームキャラクターへと姿を変え、ずっとゲーム内に閉じ込められていたアレックスからシステムを学び、生きて脱出するためにゲームクリアに臨んでいく。
人気アクションスターのドウェイン・ジョンソンが主演を務めたアクションコメディ映画。1990年代の名作「ジュマンジ」の正当続編です。
今回は「ゲームの出来事が現実で起こる」のではなく「プレイヤーがゲームの世界に入り込む」というストーリーになっているのが特徴。現実の大自然のようなフィールドなのに「死ぬとライフが減らされて元の場所に戻ってくる」といったゲーム感もあり、まるでVRゲームのような雰囲気です。
全体的にコミカルなテイストで笑えるシーンが多く、ドウェイン・ジョンソンが「見た目はマッチョ大男だけど中身はオタク高校生」という設定なのもポイント。ワイルドな風貌と怖がりな性格のギャップは爆笑必至です。
プログラムの世界で未知の戦いに挑む『トロン:レガシー』
エンコム社のCEOケヴィン・フリンが失踪してから数十年後。ケヴィンの息子サムは、ケヴィンの親友でサムの後見人でもあるアランから「ケヴィンのメッセージを受け取った」という知らせを受ける。
メッセージを辿っていったサムは、奇妙な装置によって「グリッド」と呼ばれる仮想世界へと送られてしまうのだった。
「グリッド」の中では異端の存在であるサムは、「はぐれプログラム」として捕らえられる。やがてサムは、グリッドの運命を握る壮大な戦いに巻き込まれていき……
「世界初の本格CG導入映画」として話題を集めた1980年代の名作SF映画「トロン」の続編。ジェフ・ブリッジスやブルース・ボックスライトナーといった当時のキャストも再集結して、現代的な映像で仮想世界が描かれました。
デジタルに洗練された「グリッド」の世界観描写や、斬新でスタイリッシュなアクションシーンの演出が大きな見どころ。まるでそこに緻密な電脳世界が実在しているような感覚を味わえます。
いつか実現するかもしれない、極限までリアルな仮想世界やAI生命体を描いた近未来SF映画として必見です。
近未来SFと青春ストーリーの融合『サマーウォーズ』
「OZ(オズ)」という仮想世界が社会に普及し、誰もがOZにアバターを持ち、買い物や仕事、行政システムやインフラまでもがOZと結びつくようになった世界。
高校生の健二は、学校のアイドル的存在である先輩・夏希から「実家の集まりに付いていく」というアルバイトを引き受ける。そこで健二は「婚約者」と紹介されたことから、夏希の恋人のふりをすることになってしまうのだった。
同じ頃、謎のAI「ラブマシーン」がOZをハックするという異常事態が発生。社会システムが崩壊の危機に陥る中で、健二と夏希、そして夏希の実家の人々は、ひょんなことからラブマシーンとの壮絶な戦いに挑んでいく。
「時をかける少女」「バケモノの子」などで知られる細田守監督の代表作のひとつ。
ストーリーのベースとなっているのは「淡い青春ストーリー」「家族の絆の物語」ですが、そこに「仮想現実が実用化されて社会に溶け込んだ世界」というSF要素が加えられています。
アニメならではの仮想世界の描写や、日本の原風景を感じさせるノスタルジックな情景描写が融合して、唯一無二の世界観が生まれている名作です。VR技術と隣り合った近未来を映す異色の青春アニメとして注目してみてください。
究極の仮想現実ディストピアを描く『マトリックス』
表向きはプログラマーとして働き、その裏では天才ハッカー「ネオ」の顔を持つトーマスは、ある時期から奇妙な夢に悩まされ、次第に「自分が生きる世界は現実なのか?」という疑問を抱くようになる。
そんなトーマスのもとに、トリニティと名乗る謎の女性が登場。彼女に導かれたトーマスは、この世界が全て仮想現実であり、現実ではほとんど全ての人類がコンピュータに捕らえられているという衝撃の真実を知らされるのだった。
やがてトーマスは「ネオ」を名乗り、仮想現実と現実の両方でコンピュータとの戦いに参加していく。
1999年公開の、SF映画の不朽の名作。20年以上前の映画ながら、「AIによる反逆」「リアルな仮想現実」といった未来的な要素を取り入れた怪作です。
その高度で複雑な世界観が最大の特徴で、「世界そのものがプログラムの中にある仮想現実だった」というショッキングなストーリーが話題を呼びました。
また、東洋武術やワイヤーアクション、CGを取り入れたかつてないアクション描写も大きな見どころ。アカデミー賞では視覚効果賞をはじめ、演出面で4部門を受賞しました。
仮想現実を描いたサイバーパンクSF映画の中でも、金字塔と呼べる一作です。
SF映画の世界もVRで現実になる?
もうすぐ実現しそうなVR空間から、より高度で没入感のあるプログラムの世界まで、さまざまな仮想世界を描いてきたSF映画の数々。
どの世界観も今はフィクションのものですが、VR技術の発展を見ているといつか現実になりそうにも思えますね。
SF映画を通して、未来のVR(仮想現実)に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。